MV

特集Topics

奄美ワーケーションの魅力はヒト・モノ・コトとの距離の近さ。奄美市が進める働きやすい環境づくり

奄美の魅力
奄美ワーケーションの魅力
奄美市紬観光課

2021年7月に世界自然遺産に登録されるなど、豊かな自然環境が魅力の奄美市。キレイな海やゆったりとした島の雰囲気を感じたいと、これまで多くの観光客が足を運んでくださいました。

 

一方で、新しい働き方として注目されている「ワーケーション」においてはどうでしょう。「非日常で働ける」と奄美に魅力を感じる声がある一方で、「遊びたい気持ちが強くなって仕事にならないのでは?」との声もあります。

 

そこで今回は一般社団法人日本ワーケーション協会様ご協力のもと、Uターンで奄美市に就職した有川にインタビュー。奄美という場所の特徴や、自身がテレワークで感じた「ワーケーションにおける奄美の魅力」、奄美市がワーケーション施策を行う理由や「その先」の目標についてご紹介したいと思います。

 

<取材対応者>

有川誠さん
有川 誠(ありかわ・まこと)
奄美市 商工観光情報部紬観光課
生まれも育ちも奄美で、福岡の大学を卒業後Uターンし奄美市に入職した。現在はワーケーション事業に携わる。2児の父。

 

市職員もテレワークで実感した「奄美のワーケーションの魅力」

−− まずは、奄美市の魅力について教えてください。

 

有川:
奄美市は大自然とキレイな海がありながら、生活しやすい環境も整っている点が大きな魅力だと考えています。商業施設の立ち並ぶ市街地から、車で10分も行けば海に出られるコンパクトさがいいところです。

 

自然の良さもありながら、生活しやすい便利な環境もあって、しかもそれぞれの距離がすごく近い。このような環境は、日本の中でも珍しいのではないかと思っています。

 

奄美大島の風景

 

−− ワークとバケーションの距離が近いとも言えますね。ではワーケーションをする場所としての奄美の魅力について教えてください。

 

有川:
例えばテレワークで煮詰まったときに「泳ぎたいな」と思ったら、場所によっては車で5分で海に出られます。環境をちょっと変えたいと思ったらすぐに自然と触れ合える場所に行けるんです。

 

これは私もコロナ禍でテレワークになったときに「いいな」と感じた点で、奄美市の魅力を再発見した気分になりました。

 

また、ワーケーションだけに限りませんが、旅行者やワーケーションに来た方にも積極的に話しかける島民が多いので、ヒトとの交流が生まれやすい点も大きな魅力だと思っています。

 

奄美に来た多くの方から「飲食店や旅館で会った地元の方と触れ合えた。友だち感覚で話しかけてくれてうれしかった」というお声をいただいたこともありました。ヒトとの距離が近いのも奄美らしいところですね。

 

−− ヒトとヒトとの交流を望んで来島される方は、地元の方にも声をかけていただけるし、自分からも声をかけやすい環境があるのですね。

 

有川:
おっしゃるとおりです。おもてなしというよりは、自分の好きな奄美のことを伝えたいし、島外からいらっしゃる方々から島では体験できないお話を聞きたいという島民の性質がストレートに表れていると思います。実際、私自身もそうですし(笑)

 

−− コロナ禍では難しいと思いますが、飲食店で地元の方との交流が生まれる風景も普段からありそうですね。

 

有川:
「居酒屋で仲良くなった」という話はよく聞きますから、そこで生まれる交流も多いようです。旅先・ワーケーション先での出会いを求めている方には、奄美はすごく良い環境だと思います。

 

意外と?整っている 奄美市のワーク環境

−− 市としてワーケーションに取り組まれたのは以前からですか?

 

有川:
いえ、これまでは観光の施策がメインでした。ただ、奄美空港近くに奄美市ICTプラザかさりという情報産業インキュベーション施設にコワーキングスペースを併設していました。

 

コワーキングスペース

 

有川:
こちらは奄美空港から車で5分の場所に立地していることから、空港利用者や近隣の方々に利用されています。情報通信産業(ICT)関連企業の誘致や、コワーキングスペースの活用を目指した事業の一環で設置したものです。

 

一方で、ワーケーション需要の高まりを受け、2021年に市内でのワークスペース確保のために、名瀬浦上町にWorkStyle Lab Inno(ワークスタイルラボ イノー)を開設しました。

 

 

有川:
ワークスタイルラボはワークスペース以外にも、キッズスペースや商品開発に利用できるキッチンを完備しています。

 

また、集中して作業するためのスペースや社内会議・商談時など周囲に音が漏れないよう、個室タイプの防音スペースも用意しています。

 

−− イベントなどもできますか。

 

有川:
はい!今はコロナの影響で難しいのですが、ハンドメイドの方々のワークショップ、創業を目指した方の各種講座、スキルアップセミナー、地元のヒトと島外から訪れたヒトとの交流ができるようにイベントなども企画しています。

 

レンタカー店の片隅で仕事!?さまざまな場所がワークスペースに

−− WorkStyle Lab Innoは活用の幅が広く使い勝手が良さそうですね。アクセスはいかがですか?

 

有川:
奄美市は空港から市街地まで車で50分くらいかかるのですが、その道中にワークスタイルラボがあります。市街地からだと車で10分ほどですが、空港からは少し遠いですね。

 

一方で、実は奄美空港近くのレンタカー会社の中には、ワークできる場所を設けている事業所もあるんですよ。

 

−− え!?レンタカー店でワークできるんですか?

 

有川:
そうなんです。実はワーケーション受け入れ環境を整備したい事業者様に対して、市がその一部を補助する事業を、奄美市独自に行っていました。これまでに、ホテルや民宿、レンタカー会社様などが整備しています。

 

空港の近くですので、車を借りる前や、返し終わったあとに利用できるようになっています。

 

ワークスペースのある奄美市内のレンタカー業者

(写真上)営業所内にワーク場所を設置しているレンタカー店

ワークスペースのある奄美市内のレンタカー業者

(写真上)机椅子と電源が配置されている

 

−− 車を早く返して少しだけ仕事をしたいときや、15分だけオンラインで打ち合わせをしたい、などのときにも活用できていいですね。利便性がとても高そうです。レンタカー店以外にもどんな事業者様がワーク場所を整備されたのですか?

 

有川:
宿泊業者様がワーケーション用に、ホテルや民宿の一室に机や椅子を設置したり、ネット環境を整えたりといった整備を行っており、徐々にですがワークする場所は充実してきています。

 

ワーク場所を整備している奄美の民宿

(写真上)ワーク場所を整備している奄美の民宿

 

このようにフリーランスの方はもちろん、企業にお勤めのテレワーカー様や家族一緒のワーケーションなど、さまざまなワークの形に対応できるよう環境を整えているというのが奄美市の現状です。

 

奄美ファンを一人でも多く増やしていきたい

−− 多様なワーク環境を整えていらっしゃるんですね。一方で、奄美市は観光のイメージ、という方が多いと思います。観光面では成功されている印象がありますが、なぜ今、市としてワーケーションに取り組んでいるのですか?

 

有川:
ワーケーションは、奄美を訪れるヒトを増やしたいという想いで、今年(2022年)から市として本格的に取り組み始めました。最終的には企業移転や移住という目標をもってはいますが、まずは奄美に足を運んでいただける方を増やすための施策が必要だと考えています。奄美のヒト・モノ・コトを知っていただき、定期的に来ていただけるようになった結果として企業移転や移住があるという考え方です。

 

ただ、すぐに結果が出るとは考えておらず、まずは仕事や地元の方との交流によるイノベーション創発という目的で足を運んでいただきながらも、合間の時間で大都市圏ではできない息抜き(バカンス)も堪能していただく施策を進めているところです。

 

−− 奄美市独自の環境を活かしながら、段階を踏んで奄美ファンを増やしていく、ということでしょうか?

 

有川:
まさにそのとおりです。ワーケーションの最終目的は地方創生にあって、企業誘致や移住者増加を目指してはいますが、今はまず一人でも多くの方に奄美に足を運んでいただき奄美ファンになっていただくこと、それを大切にしたいと考えています

 

世界自然遺産にも登録された自然環境もそうですが、郷土料理や黒糖焼酎なども楽しんでいただければと思っています。

 

−− 奄美ならではの食文化にも触れてほしい、ということですね。

 

有川:
はい。特に黒糖焼酎は奄美群島でのみ製造されているもので、お酒の飲める方にはぜひお試しいただきたいですね。(奄美ならではの食べ物はたくさんある中で、)奄美の郷土料理を代表する「鶏飯」なども堪能していただき、奄美を気に入っていただけたら嬉しいです。

 

奄美のグルメ「鶏飯」

 

有川:
ワーケーションを通して、「奄美に行くとワクワクする、あの人にまた会いに行く」という小さな幸せを大切にしていきたいと思っています。島民はもちろん、奄美に関わる全てのヒトが幸せになれる、そんなしあわせの島を目指していきたいです。

 

−− ありがとうございます。ヒト・モノ・コトとの距離が近い奄美でのワーケーション。楽しみですね。

 

【オンラインイベント情報】

2022年3月15日(火)15:00〜16:00

奄美のワーケーションの「今」がわかる!

「はじまる、南のしあわせの島・奄美のワーケーション 〜奄美の潜在性を、ローカルプレーヤーと経験者が語る1時間〜」を開催します。

気になる方はぜひご参加ください。

 

▼参加申請はこちらから▼

https://amami-workcation.peatix.com/

 

奄美市のワーケーションの「今」がわかるオンラインイベント開催のお知らせ

 

 

 

<聞き手>

日本ワーケーション協会 理事:古地 優菜(こち・ゆうな)

奈良県出身、長崎県諫早市在住のフリーライター。ワーケーションを「生き方・働き方・暮らし方」のひとつの選択肢として普通に選択できる社会を目指すために活動中。